支配人になった今でも、「接客の楽しさ」が私の原点
村田さん2019年入社
飲食部門からスタートし、マネージャー、支配人とキャリアを積んできた村田さん。現在は組織のトップとしてホテルを俯瞰し、視野を広げてメンバーへの目配りを意識しているそうです。入社当初から館内イベントの担当者として地域プレーヤーと連携してきた村田さんは、近隣住民とのつながりを大切にする姿勢で、KUMU金沢の魅力を引き立ててきました。
飲食部門からスタートし、マネージャー、支配人とキャリアを積んできた村田さん。現在は組織のトップとしてホテルを俯瞰し、視野を広げてメンバーへの目配りを意識しているそうです。入社当初から館内イベントの担当者として地域プレーヤーと連携してきた村田さんは、近隣住民とのつながりを大切にする姿勢で、KUMU金沢の魅力を引き立ててきました。
THE SHARE HOTELS に入社したきっかけ
村田さんがTHE SHARE HOTELSに入るまでの経緯を教えてください。
大学卒業後にワーキングホリデーに行く予定でしたが、母親から「新卒で会社勤めを経験したほうがいい」とアドバイスをもらって、地元のITの会社に入りました。その会社で4年半働いてから、イギリスとニュージーランドへワーキングホリデーに行きました。帰国後、英語を活かして多国籍な人たちと交流できる環境を求めて、ホテル業界で働くことにしたんです。
入社後、どんなキャリアを経て支配人になったのでしょうか。
最初は飲食部門に入って、4年ほど1Fにあるティーサロンの運営に携わりました。その後にホテル全体の管理を担当するマネージャーになり、2024年7月からKUMUの支配人を務めています。
実は、最初に担当したティーサロンの運営の仕事が好きだったので、飲食部門で経験を重ねてキャリアアップするイメージをしていました。宿泊部門を含むホテル全体の管理に関わるマネージャー職の話がきたときは、正直なところ驚きました。
なぜ、飲食部門にこだわったのですか?
ティーサロンの仕事は、お客様に近い場所で直接接客ができて好きだったんです。当時の私は、マネージャーや支配人といった管理職になると事務作業が増えて、現場に立つ時間が減ってしまうイメージを持っていました。
実際には、マネージャー時代は現場と事務作業のバランスが取れていて、「現場に出られない」という感覚はそれほどなかったです。ただ、支配人になってからは業務内容が変わって、一つひとつの仕事に時間がかかるので、現場に立つ時間は減っています。
制服を着れば“支配人”、脱げば“ただの村田さん”
村田さん自身の「お客様に近い場所で接客をしたい」という思いと、支配人の責務を両立するためにどんなことを心がけていますか?
サービスのレベルアップを目指す中で、トップに立つ人間が現場のリアルを知らないのは問題だと思うんです。今はどれだけ忙しくても、チェックイン・チェックアウトの時間に最低30分は現場に立つようにしています。
支配人という役割を任された以上、私が自信を持って取り組まないとスタッフもついてきづらいと思うんです。今はホテル全体を俯瞰して、視野や考え方を広げるように意識しています。ものごとを俯瞰することで各業務がつながり、全体の仕組みを深く理解できるようになってきて、ホテルの仕事に新たな魅力を感じているところです。
組織のトップとして、メンバーへどんな目配りをしていますか?
入ったばかりの人から、長く一緒に働いてきたスタッフまでいるので、まずは平等な目線で接するように心がけています。私は、各メンバーの強みと苦手分野を把握して、得意分野を活かしながら弱点を補い合えるチームワークをつくりたいんですね。それを私だけが考えるのではなくて、「メンバー全員が支え合って助け合える組織にしよう」と伝えています。
ホテルが、伝統文化に興味を持つ入り口になる
KUMUは、DJイベントを毎週開催していますね。
ティーサロンKISSA & Co.で、地元のDJやミュージシャンと一緒に「MUSIC & Co.」というイベントを開催しています。私はこの取り組みに入社当初から関わっています。最初はDJを呼んでイベントの情報発信をするだけでしたが、「SHARING WITH LOCALS(地域との共生)」というホテルのコンセプトに沿ったイベントにしたくて企画を立ててきました。
たまにイベント会場を屋上に移して近隣の方が足を運びやすい工夫をしたり、出演者の皆さんが交流しているレコード店や古本屋を呼んでマーケットを開催したりと、地元の皆さんとの交流の場として機能する取り組みをしてきました。
印象に残っている出来事はありますか?
能登半島地震の後に、能登で活躍するDJが来てくれたことです。KUMUは避難施設として被災した皆さまを受け入れていましたが、「もっと地域の一員としてできることはないか」と考えていました。そこで、能登のDJや雑貨店、コーヒーショップがKUMUに集まってチャリティーイベントを開催したんです。「SHARING WITH LOCALS」というコンセプトとホテルという場を活かして、能登のために行動できたことが嬉しかったです。
村田さんにとって「SHARING WITH LOCALS」とは何ですか?
どんな場所に私たちが開業しても、「THE SHARE HOTELSがあって良かった」と地域の皆さんに受け入れられることです。古くからの伝統や風習を守って暮らしている地域は、新しい建物や取り組みに対してネガティブな反応が起きても仕方がないと思うんです。でも、「THE SHARE HOTELSは伝統をより深く、より多くの人に広めてくれた」と言ってもらうことが地域との共生だと考えています。
KUMUでは、実際にどんな取り組みをしているのでしょう。
例えば、「TEA SALON KISSA & Co.」の名前の由来は禅語の「喫茶去(きっさこ)で、お抹茶と和菓子を楽しんでいただけるんですね。ツーリストと地元の方が混ざり合って、金沢の伝統を身近に楽しめる場として利用されています。伝統文化というと敷居が高くて作法を気にされる方もいらっしゃいますが、お茶の基本作法はお伝えしつつ「抹茶と和菓子の相性を楽しんでください」とお声がけをするんです。私たちが地域の伝統に興味を持つきっかけになる魅力を発信することで、地域共生に繋げていけると考えています。
最後に、村田さんの今後の目標を教えてください。
金沢旅行の目的がKUMUに宿泊することになったらいいなと思っています。KUMUは館内にさまざまなアートや工芸作品があって、金沢の武家文化の一端に触れられます。ホテル館内を美術館のように楽しんでいただけるので、旅の目的地としての価値を確立できると思っています。
私自身の目標は、これからTHE SHARE HOTELSで新たな施設を立ち上げる時に、地域とホテル、スタッフを繋いで、それぞれの持つ魅力を引き出す役割を担いたいと思っています。
イチオシのローカルスポット
KUMUの近所にあるパン屋さんです。私がKUMUで働きはじめてすぐにオープンしたお店で、いつも美味しいパンと温かい接客でもてなしてくれるKUMUスタッフの癒しスポットです。おすすめはプレッツェルベーグル。外はカリカリ、中はふんわりとした食感を楽しめます。
尾山神社のふもとにあるパンと焼き菓子のお店。平日は毎日7 時から順に焼きあがったパンたちが小さな店内に並びます。なくなり次第終了なので、早めに行くのがおすすめです。
石川県金沢市尾山町13-2
Instagram|@coya.ayaco
Written by Ayumi Ishikawa, Photo by Marc and Porter