旅行中の心身を元気にする『くるみの木』監修の奈良ごはん
MIROKU奈良の朝食とカフェバーのメニューを監修しているのは、県外からも多くの人が訪れる奈良の人気カフェ『くるみの木』。奈良の地域食材をふんだんに取り入れたメニューは、旅行中の心身を元気にする食事として人気です。くるみの木代表の石村由起子さんに、MIROKU奈良のメニューに込めた思いと奈良の魅力について聞きました。
奈良旅は朝ごはんから始まる
──MIROKU 奈良の食事には、石村さんのどんな思いが込められていますか?
せっかく奈良に泊まるので、地元の食材をふんだんに取り入れた奈良を感じる食卓にしたかったんです。和朝食は、良質な脂が美味しい大和ポークと地元野菜のセイロ蒸しをメインに、一本ずつ手焼きで作る大和麩のお味噌汁を用意しました。洋食は、奈良のハーブを練り込んだソーセージとサラダ、ならまちにある『ミアズブレッド』の美味しいレーズンパン※が食べられます。朝食で元気をチャージして「それぞれの目的地で楽しんでいただけますように」という思いを込めました。
※朝食メニューは変更となる場合もございます
──奈良旅行の夜ごはんは、どんなふうに楽しむといいですか?
ここ数年、奈良には実力のある若い料理人の店が増えてきたんですよ。「奈良にうまいものあり」が浸透してきて、奈良に住む私にとっては嬉しい限り。夕食はぜひ、彼らのお店に足を運んでくださいね。
──MIROKU 奈良では、夜食に出すにゅうめんが好評です!
そうめん発祥の地である三輪の素麺を使ったにゅうめんです。夕食後に夜の散歩を楽しむ方も多いでしょうから、ホテルでほっと一息つける夜食を考えました。三輪の清らかな水で丁寧に作られたにゅうめんは体に優しく、旅行中の夜食にピッタリです。
MIROKU奈良で最高の景色を楽しんで
──MIROKU 奈良は、ならまちエリアと奈良公園の間にあります。石村さんから見てどんな場所ですか?
最高の場所です。実は、このホテルのお話をいただく前に建物が気になって見に行ったことがあるんです。一面の緑を見渡す最高の景色があり、興福寺の五重塔が近くに見える部屋もありますね。のどかで、おおらかな奈良らしさを感じられる建物です。
──荒池の堤に面した『CAFE & BAR MIROKU TERRACE』に座ると、目に入る景色のほとんどが緑です。奈良のおおらかさを感じられる場所なので、滞在中に一度はテラスに来てほしいです。
テラスから見える場所に、鹿の親子が遊びにきますよね。まさに奈良らしさを感じられる「奈良っていいなぁ」と思える景色です。
──旅行中はスケジュールを詰め込みがちですが、奈良旅行は”おおらかさ”が旅のポイントになりそうです。どのあたりを散歩すると、奈良のおおらかさを感じられますか?
奈良は平城宮跡や奈良公園など広い草原があって、人も動物も自由に歩き回っています。柵で囲まずに開放しているので、広い草原をゆっくり歩けば「どなたも、よかったらどうぞ」と受け入れる懐の深さが感じられると思います。約1300年前に平城京という都が興り、豊かな自然の中にお寺や神社が点在し、人々の祈りを受け入れて癒してきました。それ以来、脈々と受け継がれてきた文化や空気感が、今の奈良の町に繋がっていることを感じられると思います。
──奈良は、暮らしと歴史ある神社仏閣が、ひと繋がりになっていると感じます。
古いものはいつか崩れてしまうけれど、奈良はギリギリまで崩れたままにしておくことが多いと感じます。奈良の古の良さを最後まで目に焼き付けてほしいという思いがこもっていて素敵ですね。この先も、鹿が公園でくつろぎ、信号を渡って町を歩く風景は変わらないでしょう。自慢しすぎかもしれないけれど、奈良は本当に奥が深くて素晴らしい場所です。
南部には「よう来たねえ」と言ってくれる場所がある
飛鳥歴史公園の石舞台地区は、奈良市内とは違う古の世界が見られますよ。時間があれば南下して、吉野に行ってください。奈良が日本の始まりの場所だと感じられる風景が残っていて、「よう来たねえ」と言ってくれる風景に出会えます。
行き帰り別ルートで東大寺二月堂を楽しむ
早起きをして、猿沢池のほとりをぐるりと周って興福寺を見ながら二月堂に行ってみてください。二月堂は24時間いつでも開いているおおらかな場所で、奈良の町が一望できます。帰りは、ささやきの小径を散歩するのがおすすめ。チェックアウト後は、ぜひ商店街を通って駅まで行ってください。商店街は町そのものですから、神社仏閣とは違った奈良の文化が感じられます。
個性豊かな奈良の和菓子に舌鼓
萬々堂通則のぶと饅頭は、遣唐使が持ち帰ったと伝えられる”ぶと”を銘菓にした歴史あるお菓子です。江戸時代末期に創業した萬々堂さんが代々伝えてきた味で、米粉を揚げたもっちりとした食感が美味しい。樫舎もおすすめで、旬の食材で素材の良さを引き出したお菓子を作っています。季節によってお菓子が違うので、訪れた時期ならではの味を楽しんでくださいね。
石村由起子 / くるみの木
空間コーディネーター
香川県高松市生まれ。1983年にカフェ・雑貨店『くるみの木(奈良市法蓮町)』をオープンし、全国から人が集まる人気店へ成長させる。その後、奈良観光案内施設『鹿の舟(同市井上町)』、故郷の高松市に『まちのシューレ963(高松市丸亀町)』をプロデュースするなど幅広く事業を手がける。現在は奈良を拠点に、日本各地で地域活性拠点や、商業施設のプロデュースを行なっている。『私は夢中で夢をみた(文藝春秋・2009)』『自分という木の育て方(平凡社・2019)』など著書多数。